17年もダイビング業界にいると嬉しくない知らせを聞くこともあります。事実として日本では毎年何件かのダイビング死亡事故が起こっていています。
このような実際の事故事例は教科書には載っておらず、ニュースなどで取り上げられる事はありますが、詳細や原因までは書かれていません。
僕自身、この17年間、毎日のように海にいますが、ありがたいことにダイビング事故を起こしたことは一度もありません。しかし、他店のダイバーを2度レスキューをしたことがあります。また、同業者でも重大事故に至ってしまったケースを何件か知っています。

今回は、実際に僕が見たり、聞いてきた中で事実として、一番多かった二つの原因について解説、対策法をお伝えします。知らない、忘れている、だけで命を落としてしまうのはあまりにも惜しいことです。ここで再確認して、しっかりと頭に叩き込んでおいてください。
今回の事例は今まで僕が経験してきたことで、公式なデータではありません。医学的な見地では無く、個人の経験から出した見解です。事例や認識に偏りがある可能性があります。ご理解の上読み進めていただければ幸いです。
また、事故の原因が「病気・健康状態」、「天災」によるもは除外してあります。
ダイビング事故でもっとも多い二つのパターン
「ロスト」による事故
ダイビング死亡事故の原因で一番多いのは「ロスト」によるものです。ロストとはチームから離れてしまうことを言います。単独になってしまい、エア切れや、パニックになってしまい溺水してしまいます。
医学的には死因は「溺水」となるのですが、その原因がロストであり、更にロスト時に正しい対応ができなかったことです。
ロスト事故の危険なところは、溺水してから発見に至るまでに時間がかかる点です。溺水トラブルでは、すぐに対処することによってほとんどが蘇生可能です。しかしロスト時は発見に至るまでに時間を要することから、死亡まで発展してしまうケースが多いです。
通常20代〜30代のダイバーが事故になることは極めて稀で、多くは40歳を超えたあたりから事故の確率が上がってきます。しかしロスト事故に関しては年齢不問で起こっています。
僕が知っている5件の事例の中で、20代が3件、30代が1件、40代が1件と若年層が事故者になっています。
無理をしてしまう
僕が2度のレスキュー経験をした時の原因はこれです。どちらもオープンウォーターコース中の事故でした。幸い死亡には至らなかったものの意識不明の状態になっています。どちらのケースもスキルに苦戦していて窒息状態になっていました。
僕はたまたま近くにいたので、レスキューに当たりましたが、正確な原因は事故者と加害者その関係者にしか公表されていません。
事故者は40代、60代のどちらも男性でした。初めてのダイビング、講習中では思っているよりもストレスがかかります。インストラクターの指導方法が悪かったのか、受講生に問題があったのか、真実は分かりません。
対処方法
ロスト時の対処法
ロストの原因は、透明度の悪さや、流れなど外的要因から、ダイバー本人のコンタクト力、スキルなど理由は様々です。どんなに注意を払っても
ロストは、100%防ぐことはできません。
だからこそ、ロスト時の対応をしっかりと覚えておきましょう。
ロスト時の対処法はすごく簡単です。
チームと逸れてしまったら、絶対にその場を移動せずに、残圧を確認して、深呼吸します。その場で浮上を開始します。水面に出たら十分な浮力を確保し、水面移動で、岸に戻るか、ボートを目指して泳いでください。水中で探すこと、安全停止をすること、再度潜降することは禁止です。
これだけです。
よくあるのは間違った行動
- 安全停止をしている
- 水中でウロウロする
- 水中で戻るのを待ち続けている
僕は今まで事故なく合流できたりしていますが、ロストした時ゲストが水面に浮上しない時間は生きてる心地がしません。1分で一年の寿命が縮まります。
僕の経験談
2025年、夏の神子元でのダイビング中。水中で1人で泳いでいるダイバーを発見。こちらに近寄ってきたので「ロストしましたか?」と確認するとそうだと言います。僕はダイビングを中断し、チーム全員で即浮上。水面で待っているとすぐに、元のチームが浮上してきて無事に再開することができました。
たまたま僕のチームに遭遇できたから良かったですが、その後も水中をずっと捜索していたらエア切れになっていたかもしれないです。こんなヒヤリハットは現場でよく見かけます。
そもそもロストしないためには?
ロストしないために注意して欲しいのは、縦列ダイビングをやめましょう。縦列してしまうとガイドから後方が見えず、コンタクトが取れなくなります。ロストに限らず、他のトラブルの原因にもなります。ガイドについていく時は横に大きく広がり、ガイドと目と目が合うポジションをキープすることが大切です。
無理をしてしまうことに対する対処法
今回紹介した例もそうですが、40代以上の男性は頑張り屋さんな方が多く、無理しすぎてしまう傾向があります。逆に女性は辛いことを報告できずに我慢してしまう傾向があります。
どちらも自覚症状が無いので根本的に解決するのが難しい問題です。
解決策としては
- 自分の能力を過信しない
- いつでもリタイアする覚悟を持っておく
- 急ぐ必要は無い
こういった心構えをしておくことです。決して義務感を持って進めないことが大事です。
しかし実際のところは、インストラクターが、講習生のストレスを見抜くことができるかどうかにかかっています。
海にいると「この人いつか事故を起こすだろうな」そう感じるインストラクターはたまに見かけます。本当に可哀想なことですが、ハズレくじを引いてしまうこともあります。
良いインストラクターと悪いインストラクターの見分け
実際に事故を起こしたインストラクターには共通点があります。インストラクタートレーナーとしてはっきり伝えます。こんなインストラクターは危険です。
「目が合わない」
この一点だけ評価してみてください。あとは会話が一方的な方も同様に危険です。
良いインストラクターの特徴
- 受講生のの目を見て話す
- 受講生の返事を待つ
- 受講生に質問させる
- 無理させない
- 中断することに躊躇しない
キャリアのあるインストラクターが全員「安全」とは言えませんが、キャリアも一つの指標になります。僕も何度もミスを繰り返してきました。
ダイビング事故に遭わないために
最も大事なことを最後にお伝えします。
ダイビング事故は自分の過失で起こるものです(体験ダイビング・OW講習を除く)ダイビング事故を起こさないために最も大事なことは、自分のダイビングスキルを磨くこと・アップデートし続けることに尽きます。
僕がまだ見習いの頃、先輩に言われた耳に痛い言葉添えておきます。
海が危険なんじゃなくて、お前が危険なんだよっ
半分冗談で言ってくれたのですが、本当に真実だなぁと、やればやるほど実感しています。
まとめ
①ロスト時の対応をきっちりと理解し、必ず手順度通り実行する(超重要)
②無理せず断る勇気を持つ。信頼できるインストラクターを見つける(運もある)
③ダイビングスキルを磨くことを怠らないこと
ほとんどの方のスキルに関する不安は基礎スキルです。1DAYコーチングでは、基礎スキルのアップデートを行える他には無い有意義なコースになっています。
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