ドリフトダイビングは
「スキル」と「条件」をが整っていれば危険ではありません。
しかし、スキルや経験が不十分な状態で行うと危険性が一気に高まるダイビングでもあります。
こんにちはそーさんです!アグレッシブで刺激的なダイビングを追い求めて激流やディープを攻めるファンキーなダイビングスタイルのガイドインストラクターです。
そんな僕だからこそ、今まで経験してきた、怖い実体験や、現場で見てきた危険な例を交えつつ
- ドリフトダイビングとは何か
- なぜ「危ない」と言われるのか
- どんな人が向いているのか
- 安全に潜るための条件
解説していきます!
ドリフトダイビングとは?
ドリフトダイビングとは、一般的には潮の流れに身を任せて移動しながら潜るダイビングスタイルです。
普通のダイビングと何が違う?
- エントリー地点とエキジット地点が違う
- 潜降・浮上にロープが無い
- 安全停止はホバリング
- 強い流れが発生することがある
- 広範囲を泳ぐことができる
こういった要素から通常のダイビングとは手順が変わってきます。
なぜドリフトダイビングは「危ない」と言われるのか?
強い流れがあること
そもそも流れがなければドリフトダイビングは成立しません。そのためドリフトダイビングを行うポイントは流れが速いのが特徴です。
ダイビングでは同じポイントでも、流れているかどうかで難易度が激変します。潮が早くなりれば、アップカレントやダウンカレントが発生し、深度のコントロールが効かなくなります。
そんな時は、流れを横切る、流れに逆らうなどの場面もあり、体力的にもメンタル的にもキツくなってきます。
漂流のリスク
ドリフトダイビングでもっとも危険なのは漂流です。僕の基準は3ノットを超えると激流、そう判断していますが、3ノットの潮に乗ってドリフトした場合40分のダイビングで3.6キロ流されることになります。3.6キロも先の海水面に浮いている「人」は船からはとても見つかりません。
通常の手順だと、1船1チームとし、泳いでいるダイバーの泡を頼りに船はチームを追尾していきます。しかし船の故障や、操船のミスなどで船長が浮上したダイバーを見失うと漂流することになります。
これがドリフトダイビングのもっとも危険な点と言っても良いでしょう。
ブルーウォーターでのコントロール
ドリフトダイビングでは潜降・浮上する際に、掴まれるロープがありません。潜降速度のコントロールができないと耳を痛めてしまったり、浮上速度のコントロールができないと水面まで吹き上げてしまうリスクがあります。
さらに流れに乗っていくことで、次第に水底の見えないブルーウォーターに突入することが多くあります。底なし状態なので、深度管理ができないとどんどん墜落してしまうリスクもあります。
ドリフトダイビングのメリット
大物に出会いやすい
潮通しが良い場所は、回遊魚、魚群、大物への期待度が上がります。
ドリフトダイビングで狙う大物たち
- ハンマーヘッドシャーク
- イソマグロ
- カンパチ
- ブリ・ワラサ
- ロウニンアジ
- ギンガメアジ
- カジキ
- ジンベエザメ
- マンタ
このような超大型の魚種はほぼドリフトダイビングでなければ出会うことはできません。
地形を広く楽しめる
通常のダイビングより、広範囲を一気に移動できます。限られたダイビング時間の中で、同じ道を往復するよりも、片道ダイビングなら常に新しい景色を見ながら楽しむことができます。
流れの無いポイントでも、これを理由にドリフトダイビングを行うことがあります。
空を飛んでるみたいで楽しい
真っ青なブルーウォーターを流れに任せてドリフトしていくのは、まるで空を飛んでいるような感覚です。風に乗っていくパラグライダーや、波に押されていくサーフィンのように自然の力に運ばれることは、とても気持ちの良いことなのです。
ドリフトダイビングをするためのスキル
最低限以下のスキルはマスターしておきましょう。
- 中性浮力が安定している
- エア消費に余裕がある
- 泳力に自信がある
- 指示を守れる
- 冷静に行動できる
本数の目安としては、30〜50本以上が一つの基準になります。ただし、ポイント(流れの強さ)によって難易度は変わるため、ポイントごとの推奨レベルに従いましょう。
例えば、
神子元島(伊豆半島)推奨100本以上
トカラ列島 推奨 500本以上
など、超上級者向きのポイントもたくさんありあます。
必須装備
シグナルフロート
水面で自分の位置を知らせる必須装備です。基本的にはインストラクターが打ち上げ使うものですが、逸れてしまった時は自力で膨らませ、船に自分の場所を伝えなければなりません。
カレントフック
速い潮流の中で体を維持するために使います。
ロングフィン
速い潮流に逆らったり、横切ったりする場合には、泳力が必要になります。フルフットフィンは最低限で、できればロングフィンが望ましいです。
ダイビングベル
ドリフトダイビングでは刻々と状況が変わっていきます。コンタクト力が非常に大切になります。自分の体調やメンタルに何かあった場合はすぐにインストラクターに伝えることのできるダイビングベルは必須です。
スマホ
近年ではスマホを持ってダイビングするスタイルも流行ってきています。カメラの性能が高くなっているのはもちろん、一番の理由は漂流した時に船とコンタクトが取れるためです。
安全に潜るための条件
常に船とコンタクトをとること
1船1チームの場合は常に船が近くにいる状態であることを確認し続けます。船の影を把握しているか、エンジン音を聞き続けて、船の存在が確認できなくなったら即浮上します。
チーム全員が常にコンタクトが取れていること
ドリフトダイビングで気をつけなければいけないのはチームからロストすることです。流れに乗っているので急に止まったり、流されたりを繰り返します。コンタクトが取れずに逸れてしまうとリスクが大幅に上がります。
遭難対策ができているエリアで行うこと
万が一漂流してしまっても、救助できる対策が整っていることが重要です。ドリフトダイビングが盛んに行われているエリアでは、ダイビング船同士のルールが取り決められていて、遭難時の対処が早いです。
実際にバリで起こった事故
日本人6名のチームが遭難した事故がありました。ここではドリフトダイビングに関する救助、捜索のルールが整っていないことが原因で大きな事故に発展しています。
パラオの事例
パラオでは3ダイビング目のドリフトが禁止されていると聞きます。それは万が一漂流した時に夕方だと捜索する時間がなく夜を迎えてしまうからです。
神子元の事例
漂流した場合、すべての船がダイビングを中止し、捜索にあたるというルールがあります。実際に漂流事故は起こっていません。潜水時間やガイドとの人数比など細かいルールも決められています。
よくある勘違いと質問
Q. ドリフトって泳がなくて楽?
→ 「ドリフト=楽チン」
ポイントやタイミングによっては楽な場面もありますが、そう思って参加するべきではありません。時に流れに逆らったり、流れを横切らなければいけないので、泳力は必須です。ダイビングにおいて、「流れ」はもっとも警戒すべきファクターです。
Q. そもそもなぜドリフトをやるの?
→ 大物やドリフトでしか経験できないダイビングに魅了されるダイバーがたくさんいます。自分自身のレベルアップのために経験したがるダイバーもいます。
Q. 自分のレベルが分からない、どうすれば良いの?
→まずは信頼のおけるインストラクターにドリフトに行けるレベルかどうかスキルを評価してもらいましょう。正しいトレーニングを受け、可能ならば一緒に潜ってもらいましょう。行き当たりばったりでドリフトをするのは辞めておきましょう。
Q. 簡単なドリフトポイントもある?
→ あります。決して全てのドリフトポイントがハイレベルなわけではありません。例えば伊豆半島の雲見の黒崎は初〜中級者でもドリフトができ、ドリフトのトレーニングにぴったりです。
危険と安全はセット
ここまでドリフトダイビングの危険性について言及してきましたが、実はダイビング事故の多くは安全なポイントで起こっています。水深3mの限定水域、波も流れも無いビーチポイントなどです。
つまり、ダイビングの安全性は海で決まるのではなく、ダイバーの力量で決まるということを忘れないでください。
僕がまだ見習いの頃、先輩に言われた耳に痛い言葉添えておきます。
海が危険なんじゃなくて、あんたが危険なんだよっ
決して説教ではなく、冗談として言ってくれたのですが、本当に真実だなぁ。とやればやるほど実感しています。
ドリフトダイビングは確かにリスクは上がりますが、逆を返せばハイレベルな海を潜れる安全度の高いダイバーと言えます。大事なのは、正しい知識と、必要なトレーニングを重ね、正しいタイミングでドリフトにチャレンジすることです。早すぎは危険です、遅すぎたらタイミングを逸してしまいます。
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