耳抜きができなくて不安になっていませんか?
「ダイビングに興味はあるけど、耳抜きができない」
「前に挑戦したけど、痛くて潜れなかった」
「体質的に向いてないんじゃないか」
ダイビング初心者の中には、こんな不安を持っている方がとても多いです。
結論から言います。
耳抜きは「体質」ではありません。
正しい知識とタイミングを知れば、ほとんどの人ができるようになります。
ただし、やり方とタイミングが間違っていると確実と言って良いほど失敗するのが耳抜きです。
この記事ではみんながハマる耳抜きの落とし穴、多くの人が勘違いしている「耳抜きあるある」。正しいやり方とタイミング、さらに耳抜きが上達する練習方法を徹底的に解説していきます。
この記事を読めばもう耳抜きは怖くない!きっとそう思っていただけるはずです。
実際、耳抜きが苦手な人はどれくらいいる?
18年以上、伊豆でダイビングインストラクターとして活動し、これまで1,400名以上の方を講習してきました。
その中での体感ですが、
- 初心者の 半数程度 は耳抜きに不安を感じます
- そのうち 2割前後 は耳が抜けなくなってしまったり、耳を痛めてしまったりします
- 最終的にはほぼ全ての人が、耳抜きができるようになります
経験上100人に一人くらいは、耳抜きができない人もいます。
耳抜きができない理由
多くのダイバーが耳抜きに苦戦している理由は二つです。
1、やり方が間違っている
2、タイミングが間違っている
ほぼこの二つが問題です。特に初心者はやり方も間違っている上に、タイミングも間違っているとうケースが多いです。
一番の罠は潜水墜落
初心者が耳を痛める原因として、最も多いのは潜水墜落です。潜水墜落とは耳抜きができていない状態にも関わらず、深度のコントロールが効かずにどんどん深度が下がってしまうことを言います。
耳抜きに苦手意識を感じている人は、大体この潜水墜落を経験しています。自分では墜落が原因と気が付かず、体質的に向いていないと勘違いしていることが多いです。
潜水墜落を防ぐには
根本的な解決方法は中性浮力をマスターすることです。仮に耳が抜けていなくても浮力のコントロールができていれば、その深度を維持したり、少し浮上してやり直すことができます。
それができたら苦労しないよって話なので、対処法もお伝えします。深度変化のある時はすぐに掴まれるものを用意しておくことです。潜降時は必ずロープを使って離さない。泳いでいる時は中層に出ず、水底から1m以内を泳ぐことで、墜落は防ぐことができます。
しかしこれらは、あくまで対処法です。いち早く中性浮力をマスターすることが最善策だということを忘れないでください。
中性浮力をマスターすると耳抜き以外にも多大な恩恵があります。以下の記事で、中性浮力の必要性と、マスターするための手順を紹介しているのでチェックしてみてください。

耳抜きができない時もある
タイミングもやり方も完璧なのに耳抜きができないこともあります。その理由は三つの可能性が考えられます。
体調によるもの
風邪をひいているときは、耳抜きの難易度が上がります。僕は花粉症ですが、特に耳抜きには影響しません。しかし風邪の治りかけで鼻声の時は耳抜きが難しくなります。
また寝不足、二日酔いも耳抜きの難易度を上げることがあります。
体質的に難しい
僕の感覚ですが、1割程度は、体質的に耳が抜けにくいです。特に子供や顎の小さい方は該当しやすいです。普通の人よりも耳抜きの難易度は高くなりますが、対策すれば必ず耳抜きができるようになります。対策法はこの後触れます。
負荷がかかり過ぎた時
潜降、浮上を繰り返したり、タイミングがズレて一度耳に負担がかかってしまうとその後の耳抜きの難易度は上がります。
耳抜きができないとどうなるか
耳抜きができないまま無理をしてダイビングを続行すると、最悪のケースは鼓膜に穴が空いてしまいます。水中で鼓膜に穴が空いてしまうと、ぐるぐる目が回ったように感じになり、戸惑うかもしれません。激痛を訴える方もいますが、そうでも無い方もいます。
ちょうど半年ほど前に、実際に鼓膜に穴の空いたゲストの体験談を聞きましたのでその時聞いた話を伝えます。
与那国島でのダイビング中でした。途中、海流に囚われ、体が上下する感覚になったそうです。海流が早いエリアではダウンカレント、アップカレントという上下方向の流れが発生することがあり、本人はダウンカレントに囚われていると思ったそうです。
ダイビングを終え、船に上がってから「ダウンカレント凄かったね」って言ったら、他の人はみんな「ダウンカレントなんて無かったよ」と言われたそうです。皆そのゲストを心配して、病院に行くことをお勧めしたそうです。診察結果、やはり鼓膜に穴が空いてた。
とのことでした。このようなめまいを【バーディゴ】と呼びます。
こんな感じで痛みを訴えない方もいますし、痛いけどバーディゴを感じない人もいます。
こんな話を聞くと怖くなってしまうかもしれませんが、鼓膜は1週間もあれば再生し、自然に治るので必要以上に怖がることはありません。
よくある勘違いとQ&A
よくある勘違いと、耳抜きあるあるについてQ&Aで回答していきます。
Q.耳抜きは一度で良い?
ノー。耳抜きは何度も行う必要があります。浅い水深では多めに、深くなるに従って回数は減ってきます。潜る前に水面で一度やっておくと、最初が楽になります。
Q.深いほど耳抜きは大変?
ウソです。圧力変化による空間の膨張率が耳抜きの難易度に影響するため、深いほど難しいということはなく、むしろ深場へ行くほど耳抜きは楽になってきます。耳抜きに一番苦戦する深度は3〜7m程度でこの水深は警戒する必要があります。
Q.耳栓をすると痛くならない?
ウソです。耳栓をすると耳の中にもう一つ空間を作ってしまうことになります。どうなるかというと深くなればなるほど耳栓が耳の中に食い込んできて、抜け無くなっちゃいます。絶対に耳栓はしないようにしてください。
Q.頭が下がっていると抜けにくい?
イエス。理由はともかく、ヘッドファーストという頭からの潜降方法では耳抜きは非常に難しくなります。僕もヘッドファーストで潜る時は耳抜きが必要なタイミングだけ頭を上げるようにしています。素潜りで耳が抜けにくいのはこのせいです。
Q.フードをしていると抜けにくい?
イエス。耳栓と同じ理由で、フードと鼓膜の間に空間ができてしまうことが原因で抜けにくくなります。また顎周りの締め付けも耳抜きがやりにくくなる理由です。
耳抜きができるようになるには
ここからが本番、現場で多くのダイバーの耳に貢献してきた僕ですから、きっと皆さんの耳にも貢献できるはずです。しっかりと覚えて耳抜きのトラウマを克服しましょう。
耳抜きの二種類のやり方
まずはやり方をきっちり覚えてください。冒頭でも言ったように耳抜きが上手くできない方は、ほとんどは正しいやり方ができていないからです。
バルサルバ法
やり方
息を大きく吸って、鼻をつまみ、口から息が出ないように鼻に送り込みます。初めはゆっくりと、徐々に圧力を高めていきます。
メリット
効果が大きく、回数が少なくてすむ。抜けにくい時も効果が得られやすい。
デメリット
やり方が難しい。人によっては練習が必要。あまりやりすぎると耳を痛める。
一般的に最もベーシックな方法ですが、これがクセモノで落とし穴がたくさんあります。間違ったやり方で苦戦しているゲストをたくさんみてきました。この方法を使う場合は以下のことに気をつけてください。
- 口から息が出てしまっている
- 鼻がしっかりとつまめていない
- 送り込む息が弱い
- 送り込んでいる時間が短い
- 息を吐いてから鼻を摘んでいる
- 鼻を摘んでいるだけで普通に呼吸している
- 目から空気が出てしまう
- 顎に力が入ってしまう
これらの問題があると強力なバルサルバ法は一切の効果をもたらしません。上記のように原因はありますが、特に多いのは「送り込む息が弱い」「送り込む時間が短い」です。送り込む息はかなり強めにしなければならず(教科書には優しくと書いてある)時間は2〜3秒は必要になります(息を止めてはいけないということに忠誠しているゲストもいる)。かなり強くを意識すると今度は顎に力が入ってしまい耳管が開かなくなります。
また目から空気が出てしまう人もいて、この場合はバルサルバ法をあきらめる必要があるかもしれません。
バルサルバ法はできる人は簡単にやるのですが、上手くできない人は何度も練習をして感覚を掴まなくてはなりません。
トゥインビー法
やり方
つばを飲み込むだけです。
メリット
誰がどうやっても一定の効果が期待できる。手が塞がっていてもできる。
デメリット
バルサルバ法に比べて効果が低く、同じ深度を潜ったとして回数がより多く必要。
耳抜きが上手くできない人に僕がおすすめしたいのは、このトゥインビー法です。効果は弱めですが、やれば誰でも一定の効果を期待できるので、少しづつでも耳が抜けていきます。よく、つばが出ないと言われますが、その時はレギュレータから少し海水を入れてみてください。飲み込まずののまま吐き出すと口の中に湿りが戻り、しょっぱいのでつばが出てきます。
そのほかにも顎を動かす方法がありますが、こちらができる人は天才です。僕に教えてください。
耳抜きが苦手な人はトゥインビー法をメインに使いつつ、練習としてバルサルバ法をたまに使うようにしてください。最終的にはどちらも使えるようになることが目標です。
耳抜きのタイミング
やり方同様、大事なのは耳抜きをするタイミングです。初心者の方は耳以外のことに意識を持っていかれ、耳抜きのタイミングが遅れることが多いです。一度タイミングを逸してしまうと、耳に負荷がかかり、その後の耳抜きはさらに難しくなります。
とにかく早めに行うことを意識し、回数は多すぎると思うくらいたくさんやって良いです。ただしバルサルバ法はやりすぎると逆効果になるので、ここでもトゥインビー法をお勧めします。
オフトレが効果絶大
やり方も間違っていない、タイミングも合っている、それでも耳が抜けない。そんな方はやはり体質的に抜けづらいかもしれません。
しかし諦めないでください。体質は変えることができるんです。オフトレの目的は、やり方をマスターしつつ、本当の狙いは耳抜きがしやすい体質に変えることなんです。
気道と耳は、耳管という管で繋がっています。通常時、耳管は閉塞していて、耳が抜けづらい人はこの耳管が開きにくい状態になっています。風邪の時に抜けづらいのも同様です。
毎日バルサルバ法を10回程度やる
オフトレはバルサルバ法を毎日10回程度やるだけでオッケーです。これを毎日繰り返しているとだんだん耳管が開きやすい体質に変わってきます。
ストレッチや準備運動みたいなもので、使っていると体は徐々に変化していくものなんです。この方法でたくさんのゲストが今まで耳抜きを克服してきました。
以前、全く抜けなかったゲストに提案して、ダイビングの1週間前くらいから毎日練習してきたら当日スパスパ抜けて驚いたものです。
どうしても耳抜きができないときの対処法
ここまでの解説通り、耳抜きがうまくいかない原因はたくさんあり、その場で特定するのは難しいことです。万策尽くしても、耳が抜けない。そんな時のために対処法を覚えておきましょう。
少し上がる
上がるのは50cm程度でOKです。上がりすぎるとまた一からやり直しになるので気をつけてください。
その場で待つ
何か掴まれるものが捕まり、深度を保ちましょう。この時耳抜きのことは一旦忘れてください。深呼吸して脱力すると良いです。
呼吸を整える
ダイビングでは呼吸が整っていなければ何も上手くいかないと覚えておきましょう。耳抜きに気を取られ呼吸が疎かになっていることが多いです。しっかりと深呼吸をしてみましょう。
顎を動かす
マウスピースを強く噛んでいると耳管が開きにくくなります。顎を動かし、マウスピースを加えるのは甘噛み程度にしてみてくだし。
体の力を抜く
上に同じですが、力んでいると耳管が開きにくいです。脱力が大切です。
片耳を上に向ける
非常に効果的です。抜けない方の耳を水面方向に向けて頭を傾け、バルサルバ法をやってみてください。首筋が伸びると耳管が開きやすく、さらに空気は上に行きたがるので効果抜群です。
耳抜きのコツ徹底解説|まとめ
まずは潜水墜落を起こさないために、中性浮力をマスターしましょう。
体質に不安のある方は、オフトレを試してみてください。徐々に体質が変わっていくはずです。
現場でのやり方は唾を飲み込むトゥインビー法をメインに、バルサルバ法も練習してみてください。バルサルバ法を試しても上手くいかないときは諦めて、トゥインビー法に徹してましょう。
上手くいかない時は、深呼吸をして、脱力することが大切です。片耳づつ上に向けてバルサルバ法を試してください。
それでも上手くいかない時は体調の問題かもしれません。そんな時は無理せずにダイビングはあきらめましょう。
これで、僕の持っている知見はほぼ出し切りました!これでも抜けないという方はぜひ当店へ来てみてください。現場で直接アドバイスさせていただきます。
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